korentoの日々の手仕事ノート

手仕事のたのしみを綴っていきます。日常で感じることなども大切に。

ベートーベン好きが【どこかでベートーベン】を読んでみた

※2017年2月はてなブログとはちがうプラットホームに書いた記事をこちらへ移行しました。

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【さよならドビュッシー】【おやすみラフマニノフ】【さよならドビュッシー前奏曲】【いつまでもショパン】と同じ『このミステリーがすごい!』シリーズの【どこかでベートーヴェン】を読みました。

主人公天才ピアニスト岬洋介の高校生時代の話。

岬洋介がベートーヴェンのソナタを2曲弾く場面が出てくるのですが、
まず一曲目が月光。
それも全楽章を弾きます。
第三楽章を弾きこなせるなんてスゴイな。

今、ちょうど月光の第一楽章を練習しているので、読んでいて自分のなかでタイムリーな感覚になりました。

 

このソナタは1801年に作曲され、当時ベートーヴェンの弟子であり恋人でもあったジュリエッタ・グイッチャルディに捧げられている。だがベートーヴェンにとってこの恋は決して成就しない悲恋だった。14歳という年齢差もあるがジュリエッタは伯爵令嬢であり、その身分差がベートーヴェンに絶望をもたらせたのだ。
叶わぬ恋の切なさは万国共通の感情だ。年齢や身分の差だけではない。
想いを打ち明けられないもどかしさ、打ち明けても受け入れられない痛み。
主題の三連符はそれを思い起こさせる。


ベートーヴェンの生涯を描いた映画『不滅の恋』で、
難聴の症状が悪化し始めた頃のベートーヴェンがピアノに耳を押し当てながら月光を弾くシーンが出てきます。

恋愛の方も上手くいかない時期だったのでしょうか。
月光を練習して弾いていると左手のオクターブが出てくるのですが、ズンズンと哀しみや怒りを表しているようにも感じます。

この小説のなかで、2曲目に悲愴ソナタが出てくるのですが、これまでは悲愴が私の中でベストソナタでした。

ですが今、月光を弾き始めてからは、甲乙つけがたいほどに好きになっています。
好き嫌いでは片づけられないくらいに。

この前読んだ小説、【蜜蜂と遠雷】のなかでも「音楽の神様」という言葉が出てきましたが、この小説でも何度も出てきます。
目に見えない何か神のような存在を感じさせられる芸術においては、そのような表現になるのかな。

この小説はミステリーのためか曲数が少なく、もっとベートーベンの曲が出てきて欲しかったなというのが、ベートーヴェン好きとしての一番の読後感です。

 

 

どこかでベートーヴェン (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)

どこかでベートーヴェン (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)